2012/01/24

IAEA「民主党はよくやっている。だが自民党お前はダメだ」

記事タイトルのまんまですが、ngc2497 さんが昨年6月に取りあげていますね。

こういう重要な報道が小さくNHKに出ていましたので、さくっと記録しておきます。

IAEAの調査団は、今回の事故の教訓を世界の原発の安全に生かそうと、12か国の専門家18人を
日本に派遣し、先月24日から調査を行っていたもので、1日、日本政府に調査概要を報告します。
その報告の案が明らかになり、この中で調査団は、まず、4つの原子炉がメルトダウンの脅威にさらされたことは
今回の事故の特徴だとしています。そのうえで、すべての安全系が喪失し人材や照明が不足する中、
事故直後に実際にとられた対応策以上のことが現実的に実行可能だったとは考えにくいとして、現時点で最良の方法だったと評価しています。
その一方で、津波の想定が過小評価で、予期せぬ高さの津波に対処することができなかったとしています。

つまり自民党政権の原発対応は問題だらけだったのですが民主党政権の原発事故対応については
IAEAの判断では特に問題がなかった事になります。
http://blog.goo.ne.jp/ngc2497/e/77a5cc277f1e56497f770515c0ddb31d

菅政権が最善を尽くしたとは考えないですが、自民党政権ならもっとうまくやれた、というひとが大勢いらっしゃるのにはびっくりしています。

「なかったこと」は共同通信の作文ではなかった

さきのエントリでは、こう書いた。

結局のところ、『「なかったこと」として封印され』いうのは共同記者の「作文」であり、事実ではないのである。
http://yunishio.hateblo.jp/entry/2012/01/23/122720

その後、産経新聞が、共同通信発と思われる同じ主旨の記事を配信していることを知った。以下に引用する。

原発最悪シナリオ 菅政権「なかったこと」と封印していた
2012.1.22 14:44 [放射能漏れ]


 東京電力福島第1原発事故で作業員全員が退避せざるを得なくなった場合、放射性物質の断続的な大量放出が約1年続くとする「最悪シナリオ」を記した文書が昨年3月下旬、当時の菅直人首相ら一握りの政権幹部に首相執務室で示された後、「なかったこと」として封印され、昨年末まで公文書として扱われていなかったことが21日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。

 民間の立場で事故を調べている福島原発事故独立検証委員会(委員長・北沢宏一前科学技術振興機構理事長)も、菅氏や当時の首相補佐官だった細野豪志原発事故担当相らの聞き取りを進め経緯を究明。危機時の情報管理として問題があり、情報操作の事実がなかったか追及する方針だ。

 文書は菅氏の要請で内閣府の原子力委員会の近藤駿介委員長が作成した昨年3月25日付の「福島第1原子力発電所の不測事態シナリオの素描」。1号機の原子炉格納容器が壊れ、放射線量が上昇して作業員全員が撤退したと想定。注水による冷却ができなくなった2号機、3号機の原子炉や1~4号機の使用済み燃料プールから放射性物質が放出され、強制移転区域は半径170キロ以上、希望者の移転を認める区域が東京都を含む半径250キロに及ぶ可能性があるとしている。

 政府高官の一人は「ものすごい内容だったので、文書はなかったことにした」と言明。別の政府関係者は「存在自体を秘匿する選択肢が論じられた」と語った。

 最悪シナリオの存在は昨年9月に菅氏が認めたほか、12月に一部内容が報じられ、初めて内閣府の公文書として扱うことにした。情報公開請求にも応じることに決めたという。

 細野氏は今月6日の会見で「(シナリオ通りになっても)十分に避難する時間があるということだったので、公表することで必要のない心配を及ぼす可能性があり、公表を控えた」と説明した。政府の事故調査・検証委員会が昨年12月に公表した中間報告は、この文書に一切触れていない。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120122/plc12012214470003-n1.htm

最初の2段落は、47NEWSなどで配信されたものとまったく同じものだが、第3段落以降、大幅に加筆されている。

問題箇所を抽出してみよう。

 政府高官の一人は「ものすごい内容だったので、文書はなかったことにした」と言明。別の政府関係者は「存在自体を秘匿する選択肢が論じられた」と語った。

この報道によれば、「なかったことにした」は共同通信の手による作文ではなく、「政府高官」の証言に基づいたものと分かる。この箇所が、もともと共同記事にあったものか、あるいは産経新聞が独自に追加したものかは分からない。「なかったことにした」という文言が双方の記事に載っているのだから、最初から共同記事に書かれていたものと推量できるだろう。

政府高官というのが何者を指しているかは分からないが、官僚の一員であることは間違いない(おそらく内閣官房の事務方でしょう)。共同記者はこの高官から聞いた言葉をそのまま記事に書いたわけだ(いや、その場合は「…と、政府高官が明らかにした」と通常なら書くべき状況だと思うよ)。

だから、オレが「共同記者の「作文」であり、事実ではない」と書いたことは、共同記者にとってはまったくの濡れ衣だったわけだ。

ところで、そうすると当初に立ちかえり、菅政権が本当に「最悪シナリオ」文書を隠蔽して「なかったことにした」のか、それが事実かどうかが問題になってくるだろう。

そこで第1段落を読みかえすと、共同記事はこのように言っている。

(A)「最悪シナリオ」を記した文書が昨年3月下旬、当時の菅直人首相ら一握りの政権幹部に首相執務室で示された後、(B)「なかったこと」として封印され、(C)昨年末まで公文書として扱われていなかった

このうち(A)(C)については事実ベースで客観的に確認を取ることができる記述であり、ここでは信憑性を疑わないが、(B)だけがどうにも浮いているように思えるのは、この記述が前述の「政府高官」の証言にのみ拠っているからだ。

さきのエントリでは、当該文書が「なかったこと」にされ「封印」された事実を共同記者は目撃したのかと問うたが、同じ問いかけをこの「政府高官」に呈さなければならない。かれが目撃して「封印」に喩えた菅政権の行為とは具体的になにを指しているのか。また、同様に「別の政府関係者」の証言がどのような根拠に基づいたものなのか、これもはっきりしない。具体的にどのような事実を目撃したのか。

結論は同じところに行きつくだろう。

「最悪シナリオ」が公文書でなかった理由

さきのエントリでは、菅直人政権が「最悪シナリオ」文書を目にしながら、その文書を公文書として扱わなかったのは「文書の管理のずさんさ」だとしたが、それは当たらないかもしれない。

さきのエントリで参照していたブログ記事、共同通信の不思議な原発記事 - kojitakenの日記のコメント欄で、id:flasher_of_thought さんが東京新聞の記事を紹介していた。

福島事故直後に「最悪シナリオ」 半径170キロ強制移住
2012年1月12日 朝刊


 福島第一原発の事故当初、新たな水素爆発が起きるなど事故が次々に拡大すれば、原発から半径百七十キロ圏は強制移住を迫られる可能性があるとの「最悪シナリオ」を、政府がまとめていたことが分かった。首都圏では、茨城、栃木、群馬各県が含まれる。

 菅直人首相(当時)の指示を受け、近藤駿介・原子力委員長が個人的に作成した。昨年三月二十五日に政府は提出を受けたが、公表していなかった。

 シナリオでは、1号機で二回目の水素爆発が起きて放射線量が上昇し、作業員が全面撤退せざるを得なくなると仮定。注水作業が止まると2、3号機の炉心の温度が上がって格納容器が壊れ、二週間後には4号機の使用済み核燃料プールの核燃料が溶け、大量の放射性物質が放出されると推定した。

 放射性物質で汚染される範囲は、旧ソ連チェルノブイリ原発事故の際に適用された移住基準をあてはめると、原発から半径百七十キロ圏では強制移住、二百五十キロ圏でも避難が必要になる可能性があると試算した。

 事故の拡大を防ぐ最終手段にも言及、「スラリー」と呼ばれる砂と水を混ぜた泥で炉心を冷却する方法が有効とした。スラリーの製造装置と配管は、工程表にも取り入れられ、実際に福島第一に配備されている。

 政府関係者は「起こる可能性が低いことをあえて仮定して作ったもので、過度な心配をさせる恐れがあり公表を控えた」と説明。近藤委員長は「当時、4号機のプールは耐震性に不安があり、そこにある大量の核燃料が溶けたらどうなるか把握しておきたかった」と話している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012011202000041.html

この報道によると「最悪シナリオ」文書は、近藤駿介氏が「個人的に作成した」ものであり、もともと公文書として作成されたものではない。私的な文書が、公文書の扱いを受けないのは当たり前のことではないだろうか。この文書は3月25日に政府に提出され、12月末に公文書の認定を受けたという。

私的に作成された文書が、のちに正式に認められて公文書に「昇格」したわけだから、これは評価すべきことであれ、非難するには当たらないと思うが、どうだろうか。

2012/01/23

菅政権が「封印」した事実とは

まず、1月21日に共同通信が報じたニュースを見てほしい。短い記事だ。以下に引用する。

原発事故、最悪シナリオを封印 菅政権「なかったことに」

 東京電力福島第1原発事故で作業員全員が退避せざるを得なくなった場合、放射性物質の断続的な大量放出が約1年続くとする「最悪シナリオ」を記した文書が昨年3月下旬、当時の菅直人首相ら一握りの政権幹部に首相執務室で示された後、「なかったこと」として封印され、昨年末まで公文書として扱われていなかったことが21日分かった。複数の政府関係者が明らかにした。

 民間の立場で事故を調べている福島原発事故独立検証委員会(委員長・北沢宏一前科学技術振興機構理事長)も、菅氏や当時の首相補佐官だった細野豪志原発事故担当相らの聞き取りを進め経緯を究明。
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012012101001950.html

この記事はなにを言わんとしているのだろうか。菅政権が「最悪シナリオ」を「封印」して「なかったこと」にしたという。最悪のシナリオを想定していなかったというのだ。これが事実なら、原発事故の影響範囲を小さく見積もり、場合によっては国民の生命に深刻な影響を出したかもしれない。国民の生命の安全をあずかる立場でありながら、とんでもないことをしてくれたものだ。これでは国民の信任に対する裏切りとの謗りを免れられまい。…事実であるならば。


ところで、この記事の一部だけを改めて引用(引用A)してみよう。

 「最悪シナリオ」を記した文書が昨年3月下旬、当時の菅直人首相ら一握りの政権幹部に首相執務室で示された後、「なかったこと」として封印され、昨年末まで公文書として扱われていなかったことが21日分かった。

この一文をよく読んで、どのような印象を抱かれただろうか。その読後感をよくよく噛みしめて確認したら、つぎにこの引用(引用B)を見てほしい。

 「最悪シナリオ」を記した文書が昨年3月下旬、当時の菅直人首相ら一握りの政権幹部に首相執務室で示された後、昨年末まで公文書として扱われていなかったことが21日分かった。

どうだろう、読後の印象が一変しなかっただろうか。こちらの引用Bでは、ただたんに「文書の管理がずさんだ」という退屈な事実を伝えているだけのように見える。


最初の引用Aとどこが違っているのか。

『「なかったこと」として封印され』という句を削除しているだけだ(同じ文句は記事の見出しにも使われている)。この句のあるなしによって、ずいぶんと読後の印象が変わってしまうことが分かる。であれば、この句のあるなしは非常に重要だということになる。共同記者は、なぜこの句を挿入しようと考えたのだろうか。


報道記事は、記者が目撃した事実を書く。目撃したことを書かないでいることはできても、目撃しなかったものを書くことはできない。したがって、記事に書かれたからには、記者が目撃したところの事実が存在しているはずだ。

では、「封印した」「なかったことにした」とは、どのような事実を指しているのだろうか。記者は、なにを目撃したのだろうか。

「封印する」とは、どういうことか。文書を、外から見えないようにたたんで、あるいは封筒や袋などに包んで、文書や袋の合わせ目に封泥を垂らして焼きつけ、印を押して開かないようにすることだ。開いたら刻印が割れて、何者かによって盗み見られたことが分かるようになっている。

もちろん、これは比喩的な表現であって、じっさいに菅総理がそのような行為をしたと読むことはできない。しかし比喩であるならば、それに類する行為があったはずである。それは、なにを指しているのだろうか。記者は、菅総理のどのような行為を目撃して、それを封印に喩えているのだろうか。


結論からいえば、封印に喩えられるような事実はなかったのだ。

記者の目撃した事実は、引用Bで書かれるような「文書管理のずさんさ」であって、引用Aで印象づけられるような「最悪シナリオの無視、隠蔽」ではない。もし、封印に類する行為があったのならば、なぜ記者はその行為の事実「そのもの」を報じなかったのだろうか? その事実がなかったからである。この「封印」うんぬんの下りには目撃したところの事実が存在しない。

菅総理は「最悪シナリオ」文書を目にしたあと、最悪シナリオを想定して対策を取っている(適切な行動であったかどうかは別問題である)。そのことは、産経新聞も否定的に取りあげている。

 「最悪の事態となったとき東日本はつぶれる」
 「(福島第1原発周辺は)10年、20年住めないのかということになる」
 これまで首相はこんな風評を流した。
(略)
 首相は22日の記者会見で東日本大震災を「危機の中の危機」と断じた。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110422/plc11042223130035-n1.htm

毎日新聞が、昨年12月にこの「最悪シナリオ」文書の存在について報じている。そして、菅総理がこの文書を根拠に行動したであろうことも書かれている。

福島第1原発:「最悪シナリオ」原子力委員長が3月に作成

 東京電力福島第1原発事故から2週間後の3月25日、菅直人前首相の指示で、近藤駿介内閣府原子力委員長が「最悪シナリオ」を作成し、菅氏に提出していたことが複数の関係者への取材で分かった。さらなる水素爆発や使用済み核燃料プールの燃料溶融が起きた場合、原発から半径170キロ圏内が旧ソ連チェルノブイリ原発事故(1986年)の強制移住地域の汚染レベルになると試算していた。

 近藤氏が作成したのはA4判約20ページ。第1原発は、全電源喪失で冷却機能が失われ、1、3、4号機で相次いで水素爆発が起き、2号機も炉心溶融で放射性物質が放出されていた。当時、冷却作業は外部からの注水に頼り、特に懸念されたのが1535本(原子炉2基分相当)の燃料を保管する4号機の使用済み核燃料プールだった。

 最悪シナリオは、1~3号機のいずれかでさらに水素爆発が起き原発内の放射線量が上昇。余震も続いて冷却作業が長期間できなくなり、4号機プールの核燃料が全て溶融したと仮定した。原発から半径170キロ圏内で、土壌中の放射性セシウムが1平方メートルあたり148万ベクレル以上というチェルノブイリ事故の強制移住基準に達すると試算。東京都のほぼ全域や横浜市まで含めた同250キロの範囲が、避難が必要な程度に汚染されると推定した。

 近藤氏は「最悪事態を想定したことで、冷却機能の多重化などの対策につながったと聞いている」と話した。菅氏は9月、毎日新聞の取材に「放射性物質が放出される事態に手をこまねいていれば、(原発から)100キロ、200キロ、300キロの範囲から全部(住民が)出なければならなくなる」と述べており、近藤氏のシナリオも根拠となったとみられる。

毎日新聞 2011年12月24日 15時00分(最終更新 12月24日 15時54分)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111224k0000e040162000c.html

結局のところ、『「なかったこと」として封印され』いうのは共同記者の「作文」であり、事実ではないのである。

「最悪シナリオ」が公文書でなかった理由

「最悪シナリオ」が公文書でなかった理由について新たな記事を書きました。文書管理はずさんではありませんでした。

「なかったこと」は共同通信の作文ではなかった

「なかったこと」は共同通信の作文ではなかったことについて新たな記事を書きました。共同通信の記者の作文ではなく、「政府高官」の証言に基づく記述でした。

2012/01/18

はてなブログにサイドバー編集機能

本日、はてなブログに「サイドバー編集機能」を追加しました。
デザイン設定ページの「カスタマイズ」欄に、新たに「サイドバー」という項目を追加しました。モジュールの順番の変更や追加ができます。
http://staff.hatenablog.com/entry/2012/01/18/165254

ということだったので、Twitter ウィジェットを追加してみた。…が、ちょっと幅がせますぎですね。