與那覇潤先生のご著書『中国化する日本』には隠されたモチーフ、裏のテーマ、真の意図などがさまざまに埋めこまれていて分かりにくいので、先生のツイートを検索して一望できるようにしてみました。検索から漏れてたり、関係のないものが混入していることがあります。「拙著」「意図」「狙い」「試み」などでは検索してないので、まだ他にも出てくるかもしれません。
これだけ多種多様な隠れモチーフや裏テーマなどをぜんぶ盛りこんで、まったく破綻させることなく一冊のご本にまとめられるご手腕には敬服です。
あ、同じ比喩で考えてる方が…推理小説で時々ある「短編を連ねていくうちに隠れたモチーフが現れる長編」が自分の理想… RT @jshiratori 短編作家と長編作家という言葉があるが、政治学者or歴史家にも当てはまる。基本として「短編」に取り組みつつ何とか長編をものにしなければ
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 5月 16, 2011
どうも、拙著のモチーフのひとつです。もちろん自分で研究したわけじゃなく(汗、桜井英治・中西聡編『流通経済史』からの受け売りですにゃ。RT @tsujifolyam 知り合いが昔、宋銭明銭が流通した中世日本を中国経済に組み込まれた「属国」として解釈可能では?と留学生から言われたそう
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 8月 21, 2011
それが「戦国大名の遺伝子」だというのが、来月の次著のモチーフです。RT @zionsion これが自民党の政治ですよね QT「人からコンクリートへ」キター。日本人にとってカタストロフからの再生は土建行政のみなのか:国土強靭化、衆院選公約へ bit.ly/r5cmM8
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 10月 21, 2011
自分も次著では、それを隠れ目標のひとつにしてますです。 RT @nob_de 歴史研究者なんだけども、今、単発の仕事でビジネスマン向けの原稿を書いてます。「人文系(歴史研究)」と対立項で捉えられる「ビジネスマンの心性(これも定義が曖昧だけど)」の両者を繋ぐ試みをしたいなぁ、と。
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 10月 28, 2011
「日本には○○がない」は昔からインテリ好みの言説だけど、ふつーの一般庶民にとって一番深刻なのは、「怠け癖を容認する文化」がないこと。これは、超長時間労働だった江戸のムラ社会に、ガッチガチな道徳的人格を強要する儒教思想が接ぎ木されて作られた産物…というのが、拙著の裏モチーフです。
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 11月 22, 2011
そして @kaikaji 先生のブログ経由で @K416 さんも取り上げて下さっていたのを発見> bit.ly/rImO54 。仰る通り、拙著の隠れ意図のひとつは「福祉=江戸時代なもの」になりがちな現状を自覚して、一回相対化してみよう、ということでもあり。感謝です。
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 11月 23, 2011
日本は「アメリカ型の市場社会に向けた改革」をやると勢い余って「中国化」してしまい、かといって「欧州型の福祉国家の維持」を目指すと今度は「江戸時代化」のドツボに嵌ってしまう、非常に経綸の難しい土地…ということを両方の立場の方に伝えたかった、というのも拙著の裏趣旨でした @K416
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 11月 23, 2011
自分、李榮薫氏の「朝鮮半島=19世紀の危機」説に目鱗だった口なのですが、それを往々「ほらね、だから李氏朝鮮って行き詰っていたジャン」と日本人が解釈するのは勘違いで、日本の徳川末期もまた別の「19世紀の危機」で並行的に瓦解した、というのが拙著の隠れた構図です。 @YukiAsaba
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 11月 27, 2011
ゼミでも触れたけど、「明治憲法はかつて批判されたような天皇独裁ではなく、権力は割拠的だった」ってのは、よくある「戦前はそこまで悪い社会じゃなかった」って話じゃ全然なくて、「戦前憲法の真の問題は、実は戦後憲法にも受け継がれた」ってことなのがポイント…という話は拙著にも書いたのでした
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 12月 1, 2011
さすが @yusaku_matsu 先生(大学院の先輩)、見抜かれてる…。実は9章最終節のタイトルは「ネタ/マジ」の中間で「正しかった講座派とマルクス」とする予定だったのを、「誤解を招くからやめて」との版元の意向で変更に至ったという経緯が…>後半はむしろ普通。一種の再版講座派理論
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 12月 2, 2011
ちなみに、これは実は『翻訳の政治学』の主題でもあってw、この「暫定的で変化しうる可能性を残しながらもまずは一旦言い切る」ことのディレンマに自分は憑りつかれているようです(笑。言い切った結果が固定してしまう危険性はある半面、言い切らないと何も始まらない… @yusaku_matsu
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 12月 2, 2011
丁寧なコメどうもです。サブカルネタは学生さんの関心を惹く切り口なので、お邪魔でしたらすみませんw。ご指摘の通り、欧米圏では「新自由主義vs社民主義」と呼ばれるものが、東アジアでは(微妙に齟齬する)「中国化vs江戸化」に化けてしまう所以の解明が、拙著の主題です @komoshiri
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 12月 4, 2011
これは慧眼!ローティがアメリカニズムについていってることって中華主義にも当てはまるよね、が拙著の元ネタで、『翻訳の政治学』末尾にも書きました。RT @tosmiy 憲法九条が「今すぐ実現しないのはあたりまえ、理想ってのはそんなものと鷹揚に構えて」って、ローティのアイロニーに似てる
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 12月 5, 2011
ご紹介どうもです。当人の意識としては、「ネオリベ」は英米を模倣し、「ネトウヨ」は日本を守ってる気になってるけど、やってることは中国化、はご指摘どおり拙著の隠れモチーフですw。 @sasa_taku @LisetteGrasset @yukemuriippai @LenyIza
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 12月 7, 2011
…なんかせっかくなのでなんとなく拙著より、引用。: 『ラピュタ』冒頭の舞台がウェールズの鉱山町をモデルにしているというだけではなく、実に半世紀を隔てたこの2作品[もう一作は『わが谷は緑なりき』]には、共通するモチーフがあります――すなわち、「父親」の不在ないし機能不全。…
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 12月 9, 2011
具体的なモチーフとして「中国/大陸的」な何かが出てくるかも大事でしょうね。ちなみに元論文を書いた際は『ドグラ・マグラ』を意識しましたw RT @crshacho: @liang_da 「中国化」定義は曖昧で、「西洋的グローバル化」とどう違うのか分からないから、短絡的な結論は早い?
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 12月 12, 2011
@jurix1979 …そう!実はそれも言いたかったのですw。>「教師もクソ真面目な「講義」と、学生目線の「余談」に分けてしまう人が多い」。で、そっちの方が学生さんも「安心して」笑えるんですよね。それは、学習的には意味のない笑いですが(であるがゆえに)… @askoma
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 12月 13, 2011
…ご購読/ご紹介、ありがとうございます。江戸時代=疑似社会主義、と見て、その由来と限界とを振り返るのは拙著の大きなモチーフでした。そして政治家さん、読んでくれたら嬉しいのですが… @Banken55 @toru723o @sugarkane335
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 12月 25, 2011
…いえ、これ、割と意識してます。ゴー宣と文革期の壁新聞が似てくる現象とか…w。ご購読感謝です! RT @emeth23 中韓嫌いの人の言う事って、中国人のメンタリティと似ている。『中国化する日本』はそういうことが言いたいんじゃないだろうけど、多分、思想の起源が同じなんだと思う。
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 1月 3, 2012
ご批判どうも。にゃ、それは否定していなくて、むしろ本書の裏モチーフ。それで私の出した暫定解が「近代(特に昭和)日本人の江戸好み」なのです。 RT @watu_kei (承前)に成立するはずである。しかし、本書の記述からは、そうした問い自体の成立を拒絶してしまっている印象が否めない
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 1月 9, 2012
「自分でリスクをとった人にだけ報いるようにしよう」は、経済面では確かに一定の合理性があって、それがいわゆる欧米流の「ネオリベ」。ところがこれが政治面にも及んで、「政権に異論を言えるのもリスクをとった人だけだ、それ以外は黙れ」が「中国化」、って書きたかったんだろうな、と昨日の続き…
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 1月 9, 2012
今までは道徳(の名を語る)感情の対象とされる「ネタ」に注目して、左っぽいもの(ex 北朝鮮)が叩かれたら「右傾化してる」とか、右っぽいもの(ex 原発)が叩かれ出したら「いや市民運動も健在」とか言ってきたけど、どうもそうじゃないってことを「中国化」って言葉で言いたかったんだろうな
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 3月 29, 2012
院生の頃から知己の方は知ってることなんだけど、自分の中国化論の「本当の」元ネタは、内藤湖南ではなくポストモダンである。(一部の)PMに見られる「客観性なんてなくすべては主観的→よって事実の判断と倫理的決断は分離できない」という思考法は、意外に徳治主義に近いのでは、というのが出発点
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 3月 31, 2012
「隠れ社会主義国家」の起源を近世から説明するのが、拙著の裏モチーフ RT @oishihi 日本の元首相の言葉とは驚き>「私有財産制というものを維持しようという考えはなかった…国体とか天皇制の維持は考えるけど、私有財産制を現在のまま認めなければならないとは思っていなかった」岸信介
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 5月 8, 2012
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