平成19年4月20日 衆議院 教育再生に関する特別委員会 第2号
○菅(直)委員
(略)
私は、総理が総理大臣に就任された最初の予算委員会で、村山談話や河野談話について一応確認の質問をいたしまして、総理は、それを個人的にも踏襲すると言われました。
私は本当に、この村山談話、河野談話、もう十年を少しさかのぼって出された二つの談話でありますが、これでほぼこういった問題は国際的にも解決済みになったと当時理解をいたしておりました。ですから、もう改めてこの問題をこちらからぶり返す必要はないし、相手もその線で大体納得をされたと、当時私も自社さ政権の中にいて感じておりました。
それが、また十年以上たってこの問題が、例えばアメリカ国内においても大きな問題になっているというのは、私は何か、この自虐史観ということを言い募ることで、わざわざ解決済みの問題に再び火をつけた、少なくともそういう政治的な効果を、だれが意図的にやったかやらなかったかは別として、そういうことになっている、こう見ているんですね。
総理、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 それは菅さんの見方であって、私はそのようには考えておりません。
○菅(直)委員 何ですか、では、どういうふうに見られていますか。
○安倍内閣総理大臣 それは関係ないということだと思います。
○菅(直)委員 関係ないというのは、例えば従軍慰安婦の記述についていろいろな議論があったことと、例えばこの河野談話の問題と、今アメリカでいろいろ議論になっていることは関係ないと言われるんですか。
○安倍内閣総理大臣 つまり、何によって惹起されたかということを菅さんがおっしゃったので、それが直接関係あるとは私は思っていない、こういうことでございます。
○菅(直)委員 いや、私、それはちょっとびっくりしましたね。
よく皆さんが批判されるときに、アメリカのあの議決を出されている人が、何か聞かれたら、いや、河野談話に書いてあるじゃないですかと言われたということをもってよく批判される方がありますが、河野談話とかあるいは村山談話とか、あるいはそれをめぐる議論と、今のアメリカで問題になっている議論がなぜ関係ないんですか。関係があるから大変な問題になっているんじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 菅委員は何を聞きたいというのか、私はよくわからないわけでありまして、では、何と何が具体的にどう関係があるというのか、私はお伺いをしたい、このように思います。
○菅(直)委員 私は、一番最初に申し上げたと思うんですね。つまりは、河野談話とか村山談話というのは、もう十年以上前、私も自社さ政権の中にいた時期もありました。そういう中で、もう一応その二つの談話で国際的にこういった問題が解決済みだというふうに、国際的にも国内的にも見られていたのに、それが改めて火をつける形になったことが、この「美しい国へ」の中にも書いてある自虐的偏向教育というものを何かあげつらって、それを変えなければといった議論が、結果として、せっかくもうおさまっていた問題に再び火をつけることになったんじゃないですかと。
これをお聞きしておられる方は、私の質問の中身をよく理解していただけると思うんですよ。それを総理が、いや、全く関係ありませんと言うと、何で関係ないのかなと。
そういうことをお聞きしているんですけれども、御質問、理解していただけましたか。
○安倍内閣総理大臣 私の答えをよく理解していないのはそちらだと思いますよ。だから、それとはかかわりがない、このように申し上げているわけであります。
○菅(直)委員 私は、総理はこれからどういう評価を歴史的に受けられる総理になるかわかりませんけれども、せっかく、中国、韓国の関係を大変改善されたという意味では、私も、総理になられた直後のいろいろな行動については一定の評価をいたしております。しかし、それが、総理の地金ともいうべき持論が出始めた中でだんだんと怪しくなっているんじゃないかということを心配申し上げて、今のことを申し上げたところです。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/166/0178/16604200178002a.html
平成19年4月25日 衆議院 外務委員会 第8号
○渡辺(周)委員
(略)
南京問題がことし大きな政治問題でありますが、いわゆる従軍慰安婦の問題、これは訪米前に、総理大臣、心から同情するということを言っていますので、その人たちの身の上については私たちも同情を禁じ得ません。だれも好きこのんでこんな商売、仕事をする人はいなかっただろう、その人たちの女性としての人生にとって非常に気の毒なことであったということは、もちろん私どもも同じ思いです。
問題は、アメリカ議会においてさまざまな議論がされております。こうした中で、我々は、そのもとになっているのが河野談話であり、これまでの日本の中では信憑性を疑われる吉田清治なる人物の著書であったりするわけですけれども、慰安婦については、いつも主語が欠けているんです。いわゆる、銃剣で駆り立てて、女性を強制的に家からつつき出して、おまえ、慰安婦になれということはなかった。しかし、実際、戦場において慰安所を設けるに当たっては、当然、軍の管理なり軍の関与なりがあって当たり前だ。
その問題について、狭義だとか広義だとか言うものですから、アメリカ人にわかるのかな。広義の強制と狭義の強制の話をしても、これは非常に難しい、日本人でも特にわからないと思うんです。
だから、これはもう一回整理をして、日本として、慰安婦制度というものはあったし、そういう業者が慰安婦を募集して軍の関係者のところに実際そういうものを設けていた。それに対しては、例えば、いわゆる性病検査のようなことは軍がやったし、そのときは軍票が発行されていたという事実で認められているものは出せばいいし、ただ、言われているような済州島で強制的に連れ出したというのは、あれは吉田清治なる人物が書いた捏造の話である。これは中国の記者ですら否定をしているんだ。
そのことを、もう少し日本としてちゃんとしないと、すべてがなかったとは言わないけれども、これはあったけれどもこれはないみたいな、狭義と広義なんと言っているとわけがわかりませんので、ぜひ、これについては、アメリカの人間にも、議会関係者にもわかるように、ちゃんとした資料、アメリカの議会で資料を出されたのを私も日本語で読みましたけれども、この問題について、ちゃんとやはり日本は出さなきゃいけない。
いわゆる、下院で証言をした人たち、元慰安婦とされる人たちに対して反論をする機会もなかった。中立的な立場で述べる人もいなかった。つまり、初めから結論ありきの公聴会であったというのはもう御存じのとおりだと思います。
この問題について、南京と同じように、日本は認めるところは認める。日本人というのは、もう潔くて、ちゃんとそういうこと、あったことはあったと言うし、あったことまでなかったと言うことはない国民性だと思っています。ただ、なかったことまで、不名誉なぬれぎぬを着せられて一生歴史の負の遺産として言われ続けることに関しては、これを我々としてやはり許すことはできない。
その点において、外務省、外務大臣、どういうふうにこの問題についても、ある意味では、河野談話ではなく政府の見解として、河野談話、私はあれは政治的な打算のものだということは、石原信雄元副長官にもお会いをしてきまして、あれは事実関係のものではなくて外交的な判断によるものだったということはもう言われているわけであります。
だとすれば、談話などというあいまいなものではなくて、政府として、ここまでは調べがついている史実です、しかし、ここについては全く証明するものはないんです、これについては現状ではないと言わざるを得ないということを、これは談話などという形ではなくて政府の見解として、ある意味では、河野談話が出てからかれこれもう十四年たつわけですので、あえてその後で出てきた事実も含めて、何らかの政府の見解というものをどこかで発表しなきゃいけないと思いますけれども、外務大臣、その辺はどうお考えでしょうか。
○麻生国務大臣 渡辺先生、政府の基本的立場というものは、繰り返し申し上げておるとおり、平成五年の河野官房長官談話を継承するというものに関しましては、今の政府の立場としては変わりありませんし、辛酸をなめられた方々に対して同情し、おわびを申し上げるというものであります。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/166/0005/16604250005008a.html
したがって、この種の話で、今すぐこれに対してという話をきちんと言うわけではありませんが、先ほど言われましたように、従軍という言葉が使われておりましたり、これは従軍と少し違うんじゃないか、したがって、いわゆる従軍慰安婦という言葉にかえたり、いろいろ努力はなされているんだと思いますが、少なくとも、きちんとした事実というものに手間暇かけて時間をかけてやらないと、おっしゃるように、狭義の広義のと言っていると、話をさらに弁解がましくとられるのは私らとしては甚だ心外でもありますので、きちんとしたものにすべきだという御意見は傾聴に値すると存じます。
平成19年5月7日 衆議院 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会 第6号
○山井委員
(略)
安倍総理、今回アメリカに行かれました。そして、アメリカで従軍慰安婦問題に関してはどのような発言をされたんでしょうか。お答えください。
○塩崎国務大臣 質問通告がないものですから、手元に何もないままに答えなきゃいけないので大変正確性に欠くと思いますので、それを踏まえた上でお答えをすれば、たしかブッシュ大統領に対して、個人としても、慰安婦の皆さん方の置かれた状況について大変心を痛め、また申しわけなく思っているということを率直に申し上げたというふうに聞いております。
○山井委員 それは謝罪をされたということですか。
○塩崎国務大臣 今申し上げたとおりであって、河野官房長官の談話でいつも申し上げているとおりで、あれ以上でも以下でもないということであります。
○山井委員 これは、四ページ目に「「同情とおわび」を表明」という毎日新聞の報道があります。「安倍首相の謝罪、米側は評価」、こう書いてあります。
念のため、もう一回お伺いをしますが、これは、安倍首相は謝罪をされたということなんですか。
○塩崎国務大臣 ブッシュ大統領に謝罪をする理由は余りないと思いますね。
○山井委員 そうしたら、従軍慰安婦問題について同情とおわびを表明ということですが、おわびは表明されたわけですか。
○塩崎国務大臣 今申し上げたように、ブッシュ大統領におわびをする理由はないと思いますね。
○中川(正)委員
(略)
また改めてイラクのことには戻っていきますけれども、訪米したときの、さっきもちょっとお話の出ていました従軍慰安婦問題について、ちょっとお聞きをしておきたいというふうに思うんです。
今回の一連の安倍総理の訪米、それからそこでの大統領並びに関係者とのこの問題に対するコメント、これは私も手元にコメントを持っていまして、さまざま出ているんですが、官房長官、これでこの問題は鎮静化したといいますか、理解を得られて一件落着をしたというふうに考えておられますか。
○塩崎国務大臣 先ほどちょっと質問通告がない中でお答えしたものですから、もう少し正確に申し上げておきますと、安倍総理は、先般の訪米の際に、ブッシュ大統領及び議会関係者に対してこういうふうに申し上げております。
自分は、辛酸をなめられた元慰安婦の方々に、人間として、また総理として、心から同情するとともに、そうした極めて苦しい状況に置かれたことについて、申しわけない気持ちでいっぱいである。二十世紀は人権侵害の多かった世紀であり、二十一世紀が人権侵害のないすばらしい世紀になるよう、日本として貢献したいといったような考えを述べたということでございます。
ブッシュ大統領からは、慰安婦の問題は歴史における残念な一章である。河野談話と安倍総理の数々の発言は非常に率直で誠意があり、自分はこれを評価する、こういうふうに述べられているわけであります。
今、御質問は、これで一件落着したのか、こういうお話でございますけれども、政府としては、以上の日米首脳間のやりとりをも踏まえて、本問題に対する我が国の基本的立場やこれまで行ってきた真摯な対応等について関係者の理解を得られるように、今のようなラインで引き続いて努力をしていくという考えであって、こういう問題に落着とかなんとかいうことがふさわしいのかどうかわかりませんが、我々としては、総理の率直な考えをもとに、引き続いて理解が得られるように努力をしてまいりたい、こう考えております。
○中川(正)委員 これは、一番もとの話は、ブッシュ大統領から出てきたんじゃなくて、アメリカの議会で、日本のおわびというのを正式にやるべきだという決議案、これを提出する動きが毎年あって、ことしもこのタイミングで出てきたということから安倍総理の発言に結びついていった、こういうことでしたよね。
そういう意味から、外務大臣に改めてお聞きをしたいんですが、恐らく、アメリカ大使館としては、それぞれの議員に対してロビー活動もやり、また情報収集もしておるんだろうというふうに思うんです。安倍総理も直接議員の皆さんにも会っておられるようですが、そういうことを踏まえて、議会の中が今どうなっているか、どんな情報が報告として上がってきているか、そのことについて答弁をいただきたいというふうに思います。
○麻生国務大臣 アメリカ議会の中の個別のところまでを、細目全部承知しているわけではありません。ただ、五月の一日でしたか、安倍総理との会話に列席をした一部の院内総務等々、そういった人たちと飯を食う機会があったときには、極めてよかったという反応が得られたことまでは確かです。
○中川(正)委員 私は、その辺の情報しか上がってきていないというのが、非常に心もとない、今、外務省の実態ではないかというふうに思うんです。
その辺が気になったものですから、私は直接、この決議案を準備して、今上げようとしているマイク・ホンダ氏に会ってまいりました。彼に対して、これだけ日本が、日本がというよりも安倍総理が改めておわびをし、河野談話を踏まえた上で、これからの人権ということに対しても自分の気持ちを述べているわけだから、もうこれでいいんだろう、こういう話をしたら、彼から実はこんな答えが返ってきました。参考のためにお話をさせていただきます。
官房長官談話やあるいは安倍総理の記者会見では、真の意味での正式なおわびとは受け取れない。彼自身の生きざまというか生き方、これは、ホンダ氏は日系ですから、日系アメリカ人がなぜ日本をこんな形で責めるのか、そこが私たちもわからなかったところなんですが、それはこんなふうなことなんですね。
日系移民が戦争中の強制収容所でこうむった人権侵害に対して、ずっとアメリカ政府に対して闘い続けてきた。政府の責任を求め、そしてその謝罪と、それから賠償を求めてきた。私たちが長い闘いの中でこの問題を決着させたのは、最終的には国会、米国議会を通じて、法律の中でおわびを明記して国家の非を認めたから、私たちはそれで決着をしたんだ。だから、日本のやり方では、総理大臣がかわればまた勝手なことを言うし、他の大臣や議員たちも別なことを言っているではないか。正式な国家の意思とは法律や国会決議で定められるべきものではないんだろうか。そういう意味が彼の口から出てきたわけでありますが、この正式なおわびという意味合いを、こんなふうに国会の関与ということで彼は表現しているわけであります。
これについて、官房長官、どのように受けとめられますか。
○塩崎国務大臣 日本のことは日本で決めたいというふうに思います。
○中川(正)委員 それは答えになっていないでしょう。当たり前のことですが、日本のことは日本で決める、それは国会なんですよ、国会が意思を持って決めるということで、当然のことです。
しかし、考えてみたら、これまでの歴史認識の問題あるいは靖国の問題、それぞれが、大臣のコメントとかあるいは総理大臣のそのときのコメントとかで日本は整理をしてきているわけですね。
国会の中で例えば一つ一つを、特別な委員会をつくって、アメリカの場合は、この問題を整理するのに特別な委員会をつくった。ちょうど今憲法調査会がそうであるように、歴史認識も、改めてこの国会の中で基本的な議論をし、その基本的な議論と史実に基づいて国会が意思を持って決議をするというふうなプロセス、こういうことが一般のヨーロッパの歴史認識の整理でもやられた。アメリカの歴史認識の整理でもやられている。そこのところを実は周りの国が日本に対して、どうなんだと。
先ほど話が出てきましたが、総理大臣がかわるたびに、あるいは、その総理大臣が総理大臣になる前に言っていたコメントと総理大臣になってからのコメントがまた違ってくる、こういうことで、本当に国としての意思を総理大臣の口から公式に述べているということになるのか、それが信じられるのかというところが実は問われているんだということだと思うんです。
それは私は非常に大事な視点なんだろうというふうに思いまして、さっきのように、自分の国のことは自分で考えますと言っている限りは、これは外交にならない。本当の信頼感というのは周りから出てくるはずがないんですよ、そんな答弁では。そこのところは、さっきの答弁、消してもらいたいと思いますし、もう一度真摯にこの問題については考えてみるべきだというふうに思うんですが、官房長官、どうですか。
○塩崎国務大臣 先ほどの発言は、別に取り消す必要はないと思います。
日本のことは日本で決めるということであって、日本の中には三権というのがあります。当然のことながら、御案内のとおりであって、立法府、行政府、司法。そのうちの、今御指摘の点、マイク・ホンダ議員がおっしゃっているのは立法府の話をしているわけであって、立法府の話を含めて日本が決めればいいことであって、立法府は立法府が物事を決めるということではないかと思います。それは我々、今、政府の立場から言うことではないので、立法府がお決めになることではないかというふうに思います。
○中川(正)委員 さらに付言すれば、これまで、アメリカで十五人ぐらいかな、毎年この法案に対して、いわゆる法案を上げていく段階での賛同者というのはそれぐらいだったんですが、今回でもう五十人を超えてきているということになってまいりました。
そういう意味では、私たちも、新しい枠組みで、自分たちの過去を振り返って、しっかりとした、めり張りのきいた議論をしながら清算をしていくということ、これは必要なことなのかなということ、これを改めて考えた上で、実は民主党は法案をこれについては出しているんですが、そのことについて民主党のサイドから、せっかくの機会ですから。
○原口議員 お答えいたします。
民主党は、やはりこの問題について何が問われているか、それは人権に対する姿勢であるというふうに思います。日本のことは日本が決める、それは官房長官の御答弁のとおりでありますけれども、そうであるとすれば、日本の首相がどうしてアメリカの上下院の院内総務に対して説明をするのか。それはまさに、その人たちからも日本の人権に対する姿勢が問われている、従軍慰安婦という未曾有の人権侵害の事実に対してどのような姿勢をとるかということが問われているんだと思います。
現に、マイク・ホンダさんのお話がありましたけれども、委員は北朝鮮人権法の民主党の提出者でもいらっしゃいますが、アメリカにおいて日本の拉致問題に協力をしてくださっている方々は、この人権侵害という一点に対して大きな支援をいただいている。
人権に対する民主党の姿勢を示すために、私たちは従軍慰安婦に対しても法律をつくって提出をしているところでございます。
以上です。
○中川(正)委員 この問題が、いわゆる国際レベルで、大きな視野に立って我々の議論が進んでいくということ、これを切に願い、また与党の皆さんにも、そうした観点で、一度国会の中でも真剣に議論をしようじゃないか、そんな場をつくっていく必要があるんだということを改めて申し上げておきたいというふうに思っております。
(略)
○阿部(知)委員
(略)
冒頭、予告外のことですが、お帰りになりました塩崎官房長官にお伺いをいたします。
安倍総理の訪米に関しまして、その中で従軍慰安婦問題について、総理みずから、人権問題がこれまでも歴史の中でも侵害され、また現状、我が国の北朝鮮の拉致問題等々でも深く傷つく人々がいて、何とか二十一世紀を人権の世紀とするためにも、我が国の従軍慰安婦に対する態度はきちんと河野談話を継承したものであり、総理としても深く反省の念、遺憾の念、同情の念を持っておられるというお話をしてこられたという報道があります。
私は、そのことにのっとって、もしその言葉に偽りなきことであれば、もう一つ実は解決していただきたい、この従軍慰安婦問題についての安倍総理の発言がございます。
塩崎官房長官は、きょう私がここに持ってまいりました「歴史教科書への疑問」、こういうタイトなものでございますが、この書物は御存じでありましょうか。――はい、御存じないと。
官房長官は入っておられないのですが、実はこれは、日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会、自民党の中川昭一現政調会長が代表、そして、当時まだ若手の議員であった安倍総理、これは平成九年の書物でございますが、皆さんで会議を持たれて歴史教科書の記載についての論議をなさったというもので、編集もこの若手議員の会になっておりますから、編集責任もあるものだと思います。その中で、本来これは安倍総理にお伺いすべきですが、残念ですがこの場においでではございませんので、官房長官に宿題をお願いしたいと思います。
安倍総理は、この従軍慰安婦問題で、私が読みましてずっと懸念しております、韓国政府に対しての二つの大きな、私は不適切な表現かなと思うところがあります。
一つは、拉致問題に関して、
実態は強制的に連れていかれたということになると、本人だけではなくて、その両親、そのきょうだい、隣近所がその事実を知っているわけですね。強制的にある日、突然、拉致されてしまうわけですから。横田めぐみさんみたいに連れていかれちゃう。そうすると、周りがそれを知っているわけですね。その人たちにとっては、その人たちが慰安婦的行為をするわけではなくて、何の恥でもないわけですから、なぜその人たちが、日韓基本条約を結ぶときに、あれだけ激しいやりとりがあって、いろいろなことをどんどん、どんどん要求する中で、そのことを誰もが一言も口にしなかったか
ということを述べておられます。
要約すると、そもそも従軍慰安婦問題は、日韓基本条約のときになぜ韓国政府なり慰安婦とされた方が言い立てなかったのか、不思議に思うということが一つ。
そして、後段でございます。
もしそれが儒教的な中で五十年間黙っていざるを得なかったという、本当にそういう社会なのかどうかと。
これも疑問に思うと述べておられます。
実態は韓国にはキーセン・ハウスがあって、そういうことをたくさんの人たちが日常どんどんやっているわけですね。ですから、それはとんでもない行為ではなくて、かなり生活の中に溶け込んでいるのではないかとすら私は思っているんですけれども、
と続いてまいります。
これは逆に、売春あるいは買春、そうした行為が、キーセン・ハウスが韓国は多いから日常生活の中に溶け込んでいる、それゆえに慰安婦の方たちも発言されなかったという筋立てになってございます。
私は、これが、議員の会が責任編さんでありまして、これは安倍総理御自身の言葉であります。もし今こういうことが韓国との間で問題になれば、これもまた、我が国は、もちろん中東との関係も重要ですが、一方で、このアジアで生きていくわけでございます。このことがどのように理解され、どのような余波を生むのか。私は、この書物が発行された当時から、ほかにも幾つも問題と思うところは赤い線を入れさせていただきましたが、特に安倍総理御自身の言葉としてやはり非常に問題が多かろうと思います。
きょう、塩崎官房長官には初めてお読みするので、内容等々つまびらかでなければ、これは総理自身はお持ちであろうと思いますから、ぜひ伺っていただきまして、このたびの米国での謝罪とこのこととの関連性をきちんとお話しいただけるようお伝えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〔中谷委員長代理退席、委員長着席〕
○塩崎国務大臣 お言葉でございますので、伝えたいと思います。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/166/0133/16605070133006a.html
平成19年6月28日 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第3号
○緒方靖夫君 アメリカ下院外交委員会で採択されたばかりの従軍慰安婦問題決議について質問いたします。
この決議は、日本政府に対し、明確であいまいでない方法で謝罪し、歴史的な責任を公式に認めること、慰安婦はなかったという主張を明確にかつ公に否定することなど四点を求めております。
官房長官にお伺いしますけれども、日本政府として今回の決議をどう受け止められているんですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) さっき申し上げたように、他国の議会のお決めになったことでございます。
慰安婦問題については、政府としての考え方は、先ほど白先生にもお答え申し上げましたけれども、四月に訪米をした際に安倍総理からブッシュ大統領を始め議会関係者等々に説明をさせていただき、また、その後も考え方を明らかにしているところでありまして、それに付け加えることは特にございません。
○緒方靖夫君 日本政府の立場について、今、四月の安倍首相の訪米について答えられましたけれども、その日本政府の立場について、四月の日米首脳会談でブッシュ大統領から理解が得られていると、そう説明をされていますけれども、一体どういう理解を得られたんですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 四月の訪米の際に、共同プレスの際に総理からは、自分は辛酸をなめられた元慰安婦の方々に、人間としてまた総理として心から同情するとともに、そうした極めて苦しい状況に置かれたことについて申し訳ないという気持ちで一杯である、二十世紀は人権侵害の多かった世紀であり、二十一世紀が人権侵害のないすばらしい世紀になるよう日本としても貢献したいと考えている、このように、ブッシュ大統領と並んで記者会見をやった総理自らが申し上げたことでございます。
このようなことで米国には御理解を賜っているというふうに理解をしております。
○緒方靖夫君 その共同プレス発表の場を私もテレビで何回か拝見いたしました。そのとき、ブッシュ大統領はたしか、アイ・アクセプト・プライムミニスターズ・アポロジーというそういう、だから、つまり首相の謝罪を受け入れると述べたことを明確に記憶しておりますし、ここにもその文書を持っております。
同時に、ブッシュ大統領はそう言う、しかし安倍総理は、日米首脳会談後の五月一日に行われた同行記者団との懇談で、慰安婦の方々に申し訳ないと表明したことに関連して、私は米国に謝罪したことは全くないと否定しているんですね。そうじゃありませんか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 仮にこれ、おわびをしているということになれば、当然、これは米国に対しておわびをするのではなくて、先ほども申し上げたように、辛酸をなめられた元慰安婦の方々に、人間としてまた総理として心から同情するとともに、そうした極めて苦しい状況に置かれたことについて申し訳ないという気持ちで一杯であると、こういうふうに申し上げているわけで、こういった方々に申し訳ないという気持ちを持っているということを総理は指摘をしたわけでございます。
○緒方靖夫君 その会見の記録を私手元に持っているんですけれども、安倍首相は、私は慰安婦の方々への気持ちが間違って伝えられたので率直に気持ちを伝えたんだと、謝罪したということでは全くないんだと。つまり、どう読んでも謝罪を自分はしていないんだと。同情と、今おっしゃられたように、申し訳ないという気持ちを述べたんだと。同情と申し訳ないという気持ちの表明は、謝罪とは違うと私は思うんですね。
そうすると、安倍首相は謝罪したんですか、それともしていないんですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) さっき申し上げたように、これは、辛酸をなめられた元慰安婦の方々に対する総理の気持ちを述べているわけでございます。
それをどう受け取るかは、それは人それぞれだと思いますが、少なくとも一つはっきりしていることは、アメリカの方々に謝る話ではないということであって、その申し訳ない気持ちを持つというのは、当然、辛酸をなめられた元慰安婦の方々に対してそういう気持ちを持つということが大事なことではないかと思っています。
○緒方靖夫君 当然です。元慰安婦に対して同情と申し訳ないという気持ちを述べられた、言葉のとおり、そうです。
私が聞いているのは、政府の認識として、それが謝罪なのかどうかということを伺っている。
○国務大臣(塩崎恭久君) もう総理の言葉以上でも以下でもないということでございます。
○緒方靖夫君 要するに、官房長官、そこがあいまいさなんですよ、日本の。
ペロシ下院議長が二十六日に発出いたしました決議支持の声明、異例ですよ、一つの委員会の決議を議長が直ちに支持声明するということは。その中で、日本政府があいまいさのない謝罪を表明することによって責任を認めるよう求めると述べて、決議の下院採択に期待を表明しているわけです。あいまいにせずに責任を認めるかどうか、ここに問題の根幹がある。
官房長官は、やはりその点について答弁を避けられた。ということは、安倍首相は謝罪していないということになるんですよ。そうじゃありませんか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先生は、申し訳ないという気持ちを持つと、それが何を意味するかというのはお分かりだと思うんですね。そもそも河野談話にはこう書いてあります。「すべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。」ということで、この河野談話については踏襲をするということは、繰り返し政府としても申し上げてきたところでございます。
○緒方靖夫君 それをわざわざ自分は謝罪した覚えがないということを述べているわけですから、そこに訳の分からなくなるあいまいさがあるわけですよ。そのあいまいさをですね、あいまいですよ、そのあいまいさをはっきりと認めるということをした上で、やはり国際社会に対してきちっとした形で態度を表明するということを私は求められていると思います。
次に、麻生大臣にお伺いいたします。
この決議は冒頭で、日本政府は一九三〇年代から第二次世界大戦までの期間、慰安婦と言われる若い女性たちを帝国軍への性的サービスの目的に動員することを正式に委任した。日本政府により強制、軍隊売春制度である慰安婦は、集団強姦、強制流産、恥辱、身体切断、死亡、自殺を招いた性的暴行等の残虐性や規模の面でも前例のない二十世紀最大の人身売買の一つだと、決議はそう指摘しております。
これに関連して麻生大臣は、今年二月十九日の衆議院予算委員会で自民党の稲田議員が、決議の冒頭で、私が今読み上げた部分、これは案と決議と変わっておりません、それを取り上げて事実か否かと質問したときに、大臣は、基本的に、全くそのような事実を認めている立場にはないと否定されましたけれども、今でも同じ認識でしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) いわゆる従軍慰安婦、私はいわゆるをやたらとこだわりますけど、従軍という言葉は軍属と意味が違いますんで、これはもう緒方先生の世代ならお分かりいただけると存じますんで。そこらのところを申し上げた上で、この日本の政府の立場について明らかにされて、今官房長官も言われていますが、これは河野談話というものが、あの中で書いてありますんで、いわゆる強制性については河野官房長官談話につきましての話をずっと申し上げてきたとおりだということをあのときも、こんな簡単に言わずにきちんと説明しただけだと記憶しますが。
○緒方靖夫君 私、手元に議事録ありますけど、ずうっとその決議案の部分を、該当部分を引用して、すべて引用して、その後に重ねて、この決議案に書かれているような破廉恥な、つまり、日本帝国軍隊が若い女性を強制的に性奴隷にして、挙げ句の果てに自殺に追いやったなどという事実があったという御認識なのかという質問に対して、大臣は、基本的に、全くそのような事実を認める立場ではないと述べられたんですね。
私が聞いているのは、こういう、ここに述べた認識に、今大臣、お変わりありませんかと伺っているんです。
○国務大臣(麻生太郎君) 度々申し上げておりますんで、もう私も、言う方も聞く方も飽きておられるとは思いますが、重ねて申し上げたいと思います。
この、これまでの政府の立場というものを踏襲して答弁をいたしておりますので、いわゆる強制性等々というものにつきましては、河野談話の記述のとおりであると申し上げてきておると記憶します。
○緒方靖夫君 ここに答弁がはっきりある。しかし、それについて、大臣は今の時点ではお認めにならない。認識を変えたとは、また答弁されなかったと思います。
私やはり、そうすると、この答弁の立場から考えるのは、今月十四日付けのワシントン・ポスト紙に掲載された意見広告があるわけですね。この意見広告は事実という表題で、米下院の慰安婦決議案が、日本軍による若い女性への性奴隷の強要や二十世紀最大の人身売買事件の一つなどと指摘している、この点を故意の歪曲だと主張して、さらに、日本軍による強制を示す歴史的資料は見付かっていない、慰安婦は性奴隷ではなく公娼だなどと述べているわけですね。
結局、ここに述べられている認識というのは、大臣がこの予算委員会などで述べられた認識と一緒じゃありませんか。
○委員長(森ゆうこ君) 麻生外務大臣、時間ですので簡潔にお願いいたします。
○国務大臣(麻生太郎君) いろいろ余り生産的ではないという話がこの間の何て言ったっけ、どこかのあれにも出てましたけれども、今のお話というものに関しましては、それも先ほど申し上げてきましたとおりに、ワシントン・ポストの中で出されたという話ですけれども、そこの内容を出された方々は、それは私、政府が出したわけではありませんから、自由に意見広告できますのは、日本という国のまたアメリカという国の開かれた国の証明でもあろうと思いますので、そういう御意見もあるということだと思っております。
○緒方靖夫君 私が述べたのは、結局、この広告の中身と大臣が二月の時点で予算委員会で述べたその内容というのは一致すると、そういうことを述べたわけですよ。私、この問題というのは非常に深刻だと思うんですね。やはり、この意見広告に対する米議会の受け止め、それがまあ火に油を注いだような結果になって今日に至っていると私は思うんですね。
その提案者に加わったラントス委員長は、二十六日の審議の中で……
○委員長(森ゆうこ君) 時間が過ぎておりますので、質疑をまとめてください。
○緒方靖夫君 この意見広告について、やはり、ここで述べられたことをすべて挙げながら、公娼制度等々をばかげた主張だと、全面的に事実に逆らうものだと断じているわけですね。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/166/0081/16606280081003a.html
私は、やはりアメリカと日本というのは共通する価値観、人権を持って、そしてその中で同盟国としてあるわけで、そうした中で、そのアメリカから、しかもその議会から決議をもってこうした批判をされるということは今後の日本にとって非常に深刻だということをやはりきちっと自覚していただきたいと、このことを申し上げまして質問を終わります。
平成19年6月29日 衆議院 本会議 第49号
○石井郁子君
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/166/0001/16606290001049a.html
(略)
外交政策でも失政は明らかです。
米国の下院外交委員会が従軍慰安婦問題で日本政府に公式の謝罪を求める決議を採択したことは、安倍外交の深刻な破綻を示すものです。
安倍総理は、就任直後に、侵略戦争と植民地支配を反省した村山談話と従軍慰安婦問題での河野談話の継承を内外に表明しました。ところが、三月、慰安婦問題で強制性を裏づける証拠がなかったのは事実だと国会で答弁し、国際社会から厳しい批判を浴びました。
安倍総理の無責任な態度は、侵略戦争を正当化する靖国派の本性を露呈したものにほかなりません。この問題についての日本の歴史的責任を明確な形で内外に示せない安倍総理に日本外交のかじ取りは任せられません。
以上です。
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