前回エントリで「安倍晋三内閣は河野談話の否定を閣議決定している」というデマが事実に反していることを示すため、安倍晋三内閣総理大臣による辻元清美議員の質問主意書に対する答弁書と、参議院予算委員会における安倍晋三内閣総理大臣および麻生太郎外務大臣による吉川春子議員との会議録を、紹介しました。
今回は、第一次安倍内閣において「河野談話を継承する」とした国会におけるすべての言及を抽出しました。その方法は、国会会議録検索システムの詳細検索において、開会日付を安倍内閣の存続期間(平成18年9月26日~平成19年9月26日)、検索語に「談話」と入れて検索し、該当する全74会議録のなかから河野談話に関係するものだけを採りました。
事実ベースの議論の叩き台として、ご利用ください。
平成18年10月3日 衆議院 本会議 第5号
○志位和夫君
(略)
第三は、従軍慰安婦問題についての日本政府の公式見解に首相がどういう態度をとるのかという問題です。
日本政府は、一九九三年の河野官房長官談話で、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については旧日本軍が直接、間接に関与したこと、慰安所における生活は強制的な状況のもとでの痛ましいものであったことを公式に認め、心からのおわびと反省を述べるとともに、歴史教育などを通じて、同じ過ちを決して繰り返さない決意を表明しました。ところが、首相は、一九九七年の国会質疑で、河野談話の根拠は崩れていると主張し、修正まで要求しています。今でも首相は、河野談話の根拠は崩れているという認識なのでしょうか。はっきりお答え願いたい。
(略)
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/165/0001/16510030001005a.html
(略)
いわゆる従軍慰安婦の問題についてお尋ねがありました。
いわゆる従軍慰安婦の問題についての政府の基本的立場は、平成五年八月四日の河野官房長官談話を受け継いでおります。
(略)
平成18年10月4日 参議院 本会議 第5号
○福島みずほ君
(略)
昨日、一九九三年のいわゆる慰安婦に関する河野談話を受け継ぐと答弁しました。これは、この談話が安倍内閣の歴史認識であるという理解でよろしいですね。また、一九九五年の村山談話についても安倍内閣の歴史認識であるという理解でよろしいですね。
(略)
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/165/0001/16510040001005a.html
(略)
いわゆる従軍慰安婦の問題についてお尋ねがありました。
いわゆる従軍慰安婦の問題についての政府の基本的立場は、平成五年八月四日の河野官房長官談話を受け継いでおります。
(略)
平成18年10月5日 衆議院 予算委員会 第2号
○菅(直)委員
(略)
一昨日の国会の議論の中で、従軍慰安婦についての質問に対して、平成五年の河野官房長官談話を受け継いでいるというふうに答弁されております。この河野官房長官談話というのは、どういう中身で、どういう趣旨で受け継がれたんですか。
○安倍内閣総理大臣 河野官房長官談話におきまして、いわゆる従軍慰安婦問題について述べられた談話でございます。この談話におきまして、いわゆる従軍慰安婦の募集等々に国の関与等についての言及があるわけでございます。この河野官房長官談話は政府として出されたわけでありまして、現在の政府におきましてもこれは受け継がれているということでございます。
○菅(直)委員 現在の政府として受け継いでいるという言い方ですが、現在の政府の最高責任者はどなたですか。そして、最高責任者である総理自身が受け継いだということですか。そこをはっきりしてください。
○安倍内閣総理大臣 当然、私は内閣総理大臣でございますから、私を含めまして政府として受け継いでいる、こういうことでございます。
○菅(直)委員 そうしますと、安倍総理が、平成九年ですか、五月二十七日の国会の質疑の中で、この官房長官談話はその前提が崩れているから、そういうものは変えるべきだ、こういうふうに主張されていたのは、考え方を変えられたということですね。
○安倍内閣総理大臣 私がその際、これはしばらく前のことでありますが、それまでの議論の中で、いわば官房長官談話が出るに際して、いわゆる従軍慰安婦と言われた方々から事情を聞いたときの状況、あるいはまた、当時の石原官房副長官のお話を伺った結果、当初報道されていた中身とは違うのではないか、こういう疑問を持ったわけでございます。
しかし他方、政府としてこの官房長官談話を発出し、内外に対して政府としての姿勢を示した、これについては、私の内閣で変更するものではない、こういうことでございます。
○菅(直)委員 国民の皆さん、聞いておられてわかるんでしょうか。
安倍総理大臣としてどういうふうに言われているか。この質疑の中で、「河野官房長官の談話の前提がかなり崩れてきているという大きな問題点があると思うんですね。ですから、」云々と書いてあります。つまりは、官房長官談話は少なくとも正確ではない、間違っていたという趣旨のことがここで述べられております。
今の説明ですと、それはそのとおりだけれども、その考えは変わっていないけれども、自分が責任者である現在の内閣、政府では、しかしこの考え方をそのまま踏襲する、そういう意味なんですか。
○安倍内閣総理大臣 今、菅議員が御指摘をされているのは、そのときの官房長官談話が発出をされたときの意味、意義なんだろう、このように思うわけでございまして、韓国においていわゆる従軍慰安婦として心に傷を負った方々に対して、政府としての認識を示したものであるわけでありますが、そのときに、この問題に関しましていろいろな議論があったのは事実であります。
いわゆる狭義の上での強制性という問題がありました。それは狭義の強制性ではなくて、広義の意味での強制性について述べているという議論もあったわけでございますが、私が当時述べていたことについては、具体的に狭義の強制性が果たしてあったかどうかという確証については、いろいろな疑問点があるのではないかということを申し上げたわけでございます。
しかし、強制性という中にはいろいろな強制があるのではないか、直接の強制ではなくても、これは広義の意味でそういう状況に実は追い込まれていたのではないかという議論もあったのは確かであります。しかし、最初は狭義の強制性であったわけでありますが、それはその後、いわば広義の強制性ということに議論が変わっていったのも事実ではないかと思います。
○菅(直)委員 これは大変重要なことなんですね。これから申し上げることにもつながってきますので、少し念を入れて聞かせていただきました。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/165/0018/16510050018002a.html
安倍さんの総理になる前の発言の中では、従軍慰安婦については、少なくとも官房長官談話に対しては否定的であったし、また村山談話に対しても、個人の意見としては認められなかった、単に、新たな談話を出すつもりはないという極めて消極的なことしか言われていなかった、こう思いますから、それは少し変えられたのかな、そういうふうにお聞きをいたしました。
(略)
平成18年10月6日 衆議院 予算委員会 第3号
○志位委員
(略)
いま一つ私が聞きたいのは、従軍慰安婦問題です。
一九九三年に、日本政府は、河野官房長官談話で、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については旧日本軍が直接、間接に関与したこと、慰安所における生活は、強制的な状況のもとでの痛ましいものであったことを公式に認め、心からのおわびと反省を述べるとともに、歴史教育などを通じて、同じ過ちを決して繰り返さない決意を表明しています。
私が本会議質問でこの問題をただしたのに対して、首相は、いわゆる従軍慰安婦問題についての政府の基本的立場は河野官房長官談話を受け継いでいると答弁されました。しかし、河野談話を受け継ぐと言うのなら、首相の過去の行動について、どうしても私はただしておきたい問題があります。
ここに、一九九七年五月二十七日の本院決算委員会第二分科会での議事録がございます。安倍議員の発言が載っております。「ことし、中学の教科書、七社の教科書すべてにいわゆる従軍慰安婦の記述が載るわけであります。」「この従軍慰安婦の記述については余りにも大きな問題をはらんでいるのではないか」「いわゆる従軍慰安婦というもの、この強制という側面がなければ特記する必要はないわけでありますが、この強制性については全くそれを検証する文書が出てきていない」、こう述べられております。そして、結局、これは、教科書から従軍慰安婦の記述を削除せよという要求です。さらに、教科書にこうした記述が載るような根拠になったのは河野官房長官の談話だとして、談話の根拠が崩れている、談話の前提は崩れていると河野談話を攻撃しています。
河野談話を受け継ぐと言うのだったら、私は、首相がかつてみずからこうやって河野談話を攻撃してきた、この言動の誤りははっきりお認めになった方がいい、このように考えますが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 この河野談話の骨子としては、慰安所の設置や慰安婦の募集に国の関与があったということと、慰安婦に対し政府がおわびと反省の気持ちを表明、そして三番目に、どのようにおわびと反省の気持ちを表するか今後検討する、こういうことでございます。
当時、私が質問をいたしましたのは、中学生の教科書に、まず、いわゆる従軍慰安婦という記述を載せるべきかどうか。これは、例えば子供の発達状況をまず見なければならないのではないだろうか、そしてまた、この事実について、いわゆる強制性、狭義の意味での強制性があったかなかったかということは重要ではないかということの事実の確認について、議論があるのであれば、それは教科書に載せるということについては考えるべきではないかということを申し上げたわけであります。これは、今に至っても、この狭義の強制性については事実を裏づけるものは出てきていなかったのではないか。
また、私が議論をいたしましたときには、吉田清治という人だったでしょうか、いわゆる慰安婦狩りをしたという人物がいて、この人がいろいろなところに話を書いていたのでありますが、この人は実は全く関係ない人物だったということが後日わかったということもあったわけでありまして、そういう点等を私は指摘したのでございます。
○志位委員 今、狭義の強制性については今でも根拠がないということをおっしゃいましたね。あなたが言う狭義の強制性というのは、いわゆる連行における強制の問題を指していると思います。しかし、河野談話では、「本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、」とあるんですよ。政府が自分の調査によってはっきり認めているんです、あなたの言う狭義の強制性も含めて。これを否定するんですか。本人たちの意思に反して集められたというのは強制そのものじゃありませんか。これを否定するんですか、河野談話のこの一節を。
○安倍内閣総理大臣 ですから、いわゆる狭義の強制性と広義の強制性があるであろう。つまり、家に乗り込んでいって強引に連れていったのか、また、そうではなくて、これは自分としては行きたくないけれどもそういう環境の中にあった、結果としてそういうことになったことについての関連があったということがいわば広義の強制性ではないか、こう考えております。
○志位委員 今になって狭義、広義と言われておりますけれども、この議事録には狭義も広義も一切区別なく、あなたは強制性一般を否定しているんですよ。そして、河野談話の根拠が崩れている、前提が崩れている、だから改めろ、こう言っているわけですよ。
ですから、これも、河野談話を認めると言うんだったら、あなたのこの行いについて反省が必要だと言っているんです。いかがですか。広義も狭義も書いてないです、そんなこと。あなたが今になって言い出したことです。
○安倍内閣総理大臣 当時私が申し上げましたのは、いわば教科書に載せることが、中学生の教科書に載せることが適切かどうかということを申し上げたわけであります。
そして、私が累次申し上げておりますように、私は、今内閣総理大臣の立場としてこの河野談話を継承している、このように思います。
○志位委員 今の総理の答弁は全く不誠実です。中学生の教科書に載せることだけを問題にしたんじゃない。強制性がないと言ったんですよ。これだけ反省すべきだと言ったのに、あなたは答えない。
強制性の問題については、先ほど言ったように、その核心は慰安所における生活にある。慰安所における生活が、強制的な状況のもとで、痛ましいものであった、これは河野談話で認定しています。これを裏づける材料は、旧日本軍の文献の中にたくさんあります。
以前、橋本元首相あてに、ある韓国人の被害者のハルモニ、おばあさんから次のような手紙が送られたことがあります。読み上げたい。
私はキム・ハクスンと申します。一九九一年八月十四日に初めて証言し、日本政府が隠し通してきた慰安婦問題の歴史的な扉をあけてから、もう五年もたちました。誇らしいことなど一つもない私自身の過去を明らかにし、名乗りましたのは、幾らかのお金をもらうためではありません。私が望むのは、日本政府の謝罪と国家的な賠償です。三十六年間の間植民地とされた苦痛に加えて、慰安婦生活の苦悩を一体どのように晴らしたらいいとおっしゃるのでしょう。胸が痛くてたまりません。韓国人を無視しないでください。韓国のハルモニ、ハラボジに当時の行いの許しを請うべきではないでしょうか。
首相に、私、伺いたいんです。
あなたは、政府の基本的立場は河野官房長官談話を受け継ぐとはっきりおっしゃったんですよ。ならば、あなたは、これまで河野談話を根拠が崩れていると攻撃して、歴史教科書から従軍慰安婦の記述を削除するように要求してきたみずからの行動を反省すべきではないか。そして、この非人間的な犯罪行為によって犠牲となったアジアの方々、とりわけ直接被害に遭われた方々に対して謝罪されるべきではないかと私は思います。もう一度答弁をお願いします。
○安倍内閣総理大臣 ですから、私が先ほど来申し上げておりますように、河野官房長官談話の骨子としては、いろいろな苦しみの中にあった慰安婦の方々に対しておわびと反省の気持ちを表明しているわけでありまして、私の内閣でもそれは継承しているということでございます。
○志位委員 河野談話を継承すると言いながら、みずからの誤りについての反省を言わない。これでは、心では継承しないということになりますよ。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/165/0018/16510060018003a.html
(略)
平成18年10月10日 衆議院 予算委員会 第4号
○前原委員
(略)
そして、河野官房長官談話、これは従軍慰安婦の問題でありますけれども、これは以前、根拠が既に崩れているにもかかわらず官房長官談話は生きている、これは大変大きな問題だということをおっしゃっているけれども、今回は、官房長官談話を踏襲するということをおっしゃっている。
(略)
○安倍内閣総理大臣
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/165/0018/16510100018004a.html
(言及なし)
平成18年10月11日 参議院 予算委員会 第1号
○福島みずほ君
(略)
次に、総理、総理のこれまでの戦争指導者の責任、いわゆる従軍慰安婦に関する発言は間違いだったのでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もう既に国会で答弁をいたしておりますように、河野官房長官談話については、私の内閣においてそれを継承しているところでございます。
○福島みずほ君 以前の見解を変えたわけですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 以前の見解というのはどの見解のことでしょうか。
○福島みずほ君 総理は、いわゆる従軍慰安婦問題について、強制連行について、ない、あるいは問題があるという旨発言をされてきました。私が今日ここで問題としたいのは、総理が以前行っていた発言と違う発言を総理になってからされていることです。以前の発言は間違いだったんでしょうか。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/165/0014/16510110014001a.html
(略)
平成18年10月26日 衆議院 総務委員会 第2号
○吉井委員
(略)
大臣は著書の中で、ここに持ってきておりますが、「歴史教科書への疑問」という中で、従軍慰安婦の問題について考えることができ有意義であったと思います、有識者の皆様の検証によって従軍慰安婦の強制連行など実際になかったことが明らかになっている、従軍慰安婦に軍が深く関与していたという誤った情報を教科書に載せているだけでも問題ですが、青少年にゆがんだ認識を与え誤った国家観を抱くことを助長することはもっと問題です、政治が主体的にこの誤った認識を直さなければならないというのが、あなたのこの共著の中に出てくるわけです。
この間の本会議で、安倍総理大臣は「従軍慰安婦の問題についての政府の基本的立場は、平成五年八月四日の河野官房長官談話を受け継いでおります。」と。だから、あなたはこれは間違いだと言う。しかし、河野官房長官は、政府の立場として、この従軍慰安婦の事実を認めて、軍や国家権力が深く関与したということで、その痛みを受けとめておわびをするということとかを発言された談話ですね。しかし、それに対して、あなたは、それは間違いだったと言う、政治的に正すということを過去には言ってきたんだけれども、今は河野官房長官談話を受け継ぐという立場なのか、もともとの持論をこれからも貫いていかれるのか、これを伺います。
○菅国務大臣 私は、内閣の一員でありますから、安倍総理もこのことを安倍内閣として認めていますので、それに従います。
○吉井委員 私は、あなたの個人的な考え方で命令放送を出すとか、そういうことになっていったら本当に大変だ、これは極めて日本の報道の自由とか根幹にかかわってくる問題だということで取り上げましたけれども、内閣が終わったらまたもとの持論でやっていくんだ、それは本当にいいかげんな政治家としての立場になりますよということだけ申し上げて、政治家としてならば、今おっしゃった官房長官談話を貫くという立場をやはり貫いていかれるべきだろう、このことを申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/165/0094/16510260094002a.html
平成18年10月26日 参議院 文教科学委員会 第3号
○井上哲士君
(略)
安倍総理は、いわゆる従軍慰安婦についてのおわびと反省を表明をした河野官房長官談話について、政府として引き継いでいると、こういう答弁をされましたけれども、これは文部科学大臣も同じ認識ということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) 教科書検定というのは当然審議会を持ってやっておりますので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思いますが、私は安倍内閣の一員でございますから、内閣の一員としては当然安倍総理の考えておられるとおりの態度を取らなければいけないと思っております。
○井上哲士君 河野談話には歴史教育などを通じて同じ過ちを決して繰り返さない決意ということも表明されておりますが、当然この内容も含めて受け継ぐということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) 日本は法治国家でございますから、当然教科書検定についてもきちっとした法体系の中で行われていて、河野官房長官談話を受けて御承知の近隣への配慮条項というのが新たに加わっております。これは変わっておりませんから、当然のことだと思います。
○井上哲士君 ところが、下村官房副長官が、八月の下旬でありますが、自虐史観に基づいた歴史教科書も官邸のチェックで改めさせると、こういう発言をしていたということが大きく報道をされたわけですね。今の法治国家という話、そして河野官房長官談話、近隣条項も含めて態度を引き継いでいくということからいいますと、私はこれ全く反する発言だと思うんですが、この点、大臣の認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) 御質問の趣旨は、下村副長官の発言についてどう思うかということですか。それは、私は、先ほど申し上げたように、安倍内閣の一員でございますから、閣僚としては当然内閣の方針に従うということを申し上げましたので、副長官ですから、個人の立場と内閣の一員という立場を使い分けられるという立場には私はないと思いますがね。
○井上哲士君 だから、その下村氏が、自虐史観に基づいた歴史教科書も官邸のチェックで改めさせると、こういうふうに言われていたわけですね。これは矛盾するんじゃないでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) 何度も申し上げていますように、日本は独裁国家ではございませんので、法治国家でございますから、官邸が教科書検定をできるという法体系にはなっておりません。
○井上哲士君 そうすると、この下村氏が発言をしたようなことはあってはならないと、こういうことで確認をしてよろしいでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) それは下村さんが自分の個人的見解として御発言になったと伺っておりますが、それがあっていいことかどうかというのは、安倍内閣の一員として下村さんに聞いていただきたいと思います。
○井上哲士君 官邸のチェックで教科書が変わるようなことは法治国家の下ではないんだということが先ほど来繰り返しお話がありました。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/165/0061/16510260061003a.html
ただ、歴史教育の中で実際にこの従軍慰安婦の問題がどう取り上げてこられたのか。教科書からは記述がなくなったりするなど、実際は大きく後退をしているのではないかと私は思いますし、大変問題だと思っております。
そして、今、下村氏の発言も挙げたわけですが、先日は、中川これは自民党政調会長でありますが、デモで騒音をまき散らす教員に児童生徒の尊敬を受ける資格はないと、免許剥奪だろうと、こんな発言も飛び出しますと、私は安倍内閣の言うこの教育改革というものがこういう特定のものを押し付けていくということになるんじゃないかという危惧を大変強く覚えております。それを申し上げておきたい。
(略)
平成18年10月27日 衆議院 外務委員会 第3号
○長妻委員
(略)
そういう意味では、河野談話と言われる慰安婦関係調査結果発表に関する談話というのを十四ページにつけさせていただいております。これは、下村副長官がいろいろ御異論があるのではないかというようなことも聞いておりますけれども、この談話のどこら辺に問題点があるとお考えでございますか。
○下村内閣官房副長官 先日、私的な会合の中での発言の御指摘だというふうに思います。
その中で私が申し上げましたのは、安倍政権の中においても、いわゆる従軍慰安婦問題における河野談話、これは閣議決定された内容でございますし、これはきちっと引き継ぐものである、そして、安倍政権の中においてもこれを変えるというような考えを持っているわけではもちろんないということで、そのまま内閣として踏襲していくのは当然であるということを発言いたしました。
その上で、個人的にということをあえて断りまして、いわゆる従軍慰安婦問題については、その後、国会の議論の中でも、外務省の当時平林審議官が、この内容については、いろいろな、もっと研究、調査をしなければ事実関係が把握できないところもあるということを答弁もしております。そういう中で、私自身は個人的に、幅広く、科学的そしていろいろな知識等をもっと求めて、そして個人的には研究をしていきたい、そういうことを申し上げたわけでございます。
○長妻委員 そうしますと、個人的にというお話でございますけれども、これは官房副長官としての発言ではないということでございますか。
○下村内閣官房副長官 そのときは政治家下村博文としての発言でございます。
○長妻委員 ここら辺の整理というのが私は非常に重要だと思うのは、海外に情報が発信をされる、あるいは国内にも情報がされるときに、当然、国会での発言は個人的見解を述べる閣僚の方というのは、副長官も含めて多分いないだろうと思いますけれども、国会の外での発言がどこまで個人的で、そして閣僚や準じる方々が公的な立場なのか、この使い分け。
例えば、常識的に考えて、総理大臣が私の個人的意見ですということで外の会合であっても話すということはちょっとあり得ないのではないのか、個人的意見というか、それは総理大臣の意見になるというふうに認識しておりますので、これは官房副長官としては、官房副長官は閣僚に準じる重要な地位だと私は思いますけれども、外での会合での発言は個人的なものと公的な立場と、これは自分が断れば使い分けをするということはあり得るんだ、こういう御認識でございますか。
○下村内閣官房副長官 過去の事例におきましても、同様の、もちろん内容は違いますが、個人的な政治家としての発言ということはあり得たというふうに理解をしております。
○長妻委員 閣僚に準じる方は、非常にこれは混乱を招きますので、一々、それは個人的なのか、閣僚として政府なのか、これを全部チェックしていくということはできませんし、そういう意味では私は御注意をいただきたい発言であるというふうに考えておりますが、ただ、そういう発言が出る背景というのも私はなきにしもあらず、さきの大戦の政府のきちっとした調査というのが一体どういう形で進んでいるのか。
(略)
○日森委員
(略)
もちろん、大臣の発言もそうですが、先ほどまでそこにいらっしゃった下村官房副長官、当時の河野官房長官の談話について疑義を呈するというようなことがありましたし、これは自民党の党内ですが、中川政調会長も危ない発言をして、これがとりわけ国際社会から大変心配の目で見られているという状況があるわけです。
これは何度も質問されていることですが、私はきょう初めてなものですから、改めて生の声で大臣からお聞きをしたいと思っています。
(略)
○麻生国務大臣
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/165/0005/16510270005003a.html
(言及なし)
平成18年10月27日 衆議院 内閣委員会 第3号
○戸井田委員 もう時間がないので、何か最後に取ってつけたようなものが一つありますけれども、河野談話のことも聞きたかったんですね。石原信雄官房副長官の発言、文芸春秋の平成九年四月号で「密約外交の代償」、この中にやはり書かれているんですね。そういうこともぜひ言いたい。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/165/0002/16510270002003a.html
(略)
(時間切れ)
平成18年10月31日 参議院 総務委員会 第3号
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。
まず、慰安婦問題について伺います。
菅総務大臣は、十月二十六日の衆議院総務委員会で慰安婦問題に関する河野官房長官談話を受け継ぐと答弁されました。官房長官談話は、慰安婦は、当時、軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深く傷付けた問題であるとしていますが、そうした認識は大臣もお持ちでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) 河野官房長官の談話を踏襲するということはそういうことです。
○吉川春子君 多数の女性の名誉と尊厳を深く傷付けた問題だという認識はお持ちでしょうか。官房長官談話の中身について聞いています。
○国務大臣(菅義偉君) 官房長官談話を踏襲するということは、その内容について踏襲するということです。
○吉川春子君 個人としてそのように思うわけですか。
○国務大臣(菅義偉君) 私は総務大臣としてです。
○吉川春子君 資料を配付いたしました。ごらんいただきたいと思います。
まず、資料一は警察庁が私に届けてくださったもので、内務省警保局長が南支派遣軍の慰安所設置のために必要につき醜業を目的とする婦女約四百名を渡航させてほしいと申出があり、これを扱うこととし、婦女を募集せしめ、現地に向かわせるよう取り計らえという内容です。
また、資料二は、官房長官談話発表に先立って、九二年、政府が公表した膨大な資料の中の一つです。比島軍政監部イロイロ出張所慰安所規定。その中の五として漢数字の、5として慰安婦外出の厳重取締り、七として慰安婦の散歩は毎朝午前八時より十時までとして散歩区域の地図が付してあります。
韓国、中国、フィリピン、インドネシア、台湾など、たくさんの慰安婦被害者が日本政府に対し補償、謝罪を求める裁判を起こしましたが、除斥期間あるいは国家無答責の理論で敗訴をしております。しかし、裁判所は、慰安婦が強制連行され、慰安所の痛ましい生活、強制された事実認定は行っております。官房長官談話は、我々は歴史の事実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい、我々は歴史研究、歴史教育を通じてこのような問題を長く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明するというふうにしております。
大臣、この考えに異議はありますか、ありませんか。
○国務大臣(菅義偉君) 先ほど来申し上げていますけれども、私もこの河野内閣官房長官談話、このことを踏襲をするということです。
○吉川春子君 今の一連の大臣の答弁から、大臣として官房長官談話は受け継ぐけれども、個人の考えは違うよと、こういうメッセージを私受けました。そうですか。
○国務大臣(菅義偉君) 私は国務大臣として答弁をさせていただいています。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/165/0002/16510310002003a.html
平成18年12月15日 衆議院 本会議 第23号
○菅直人君
(略)
第十一番目、最後になりますけれども、安倍総理の就任前の多くの発言と就任後の多くの発言や政治姿勢に余りにも大きなぶれがあるということであります。
安倍総理は、私との予算委員会の質疑の中で、戦後五十年の村山総理の談話や、あるいは宮沢内閣のときでしたか、現在議長をされている河野官房長官の談話などについて、否定的な発言を総理になるまでは繰り返されておりました。それは、自民党の皆さん、よく知っておられるはずですよね。しかし、総理になって、予算委員会の席で私が確かめたところ、内閣としても自分自身としても、その談話はそのまま踏襲し、守っていくという趣旨の答弁をされました。大変結構な答弁だと私も思います。しかし、それでは、総理になる前の発言は党内の総裁選用の発言だったのかなと。
○石原伸晃君
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/165/0001/16512150001023a.html
(言及なし)
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